卵胞培養 in vitro culture of ovarian follicles

哺乳動物では胎生期にすでに排卵可能な卵子の総数が決定され、 春機発動後に性周期(発情周期・月経周期)ごとにその一部が発達して排卵に至ります。 実際排卵に至る卵子数は、過排卵処理を施したとしても、 卵巣に内在する総卵子数のごく一部でしかなく、 もし、内在する卵子を効率良く発育・成熟させることができれば、 卵子の有効利用が可能です。

特に、家畜では卵子の入手資源として「屠場卵巣」が汎用され、主に卵巣にすでに存在している発達した卵胞(胞状卵胞)から卵子を取り出し、体外成熟させてから体外受精に用いますが、それらに加えて卵巣内の未発達卵胞内卵子も利用可能となれば、非常に効率の良い卵子入手が可能となります。そこで、実験動物や家畜で、卵巣内未発達卵胞を体外培養で発達させて胞状卵胞を形成させる研究がなされています。

マウスでは、成熟前に一過性の同調した卵胞発育(いわゆる卵胞発育のFirst wave)があり、その同調性を利用して研究がなされています(文献1)。さらに、出生直後の原始卵胞についても二段階の培養法により培養可能で、その卵胞卵子由来の産仔も得られています(文献2)。

参考文献

  1. 1. Eppig, J. J. and A. C. Schroeder (1989): Capacity of mouse oocytes from preantral follicles to undergo embryogenesis and development to live young after growth, maturation, and fertilization in vitro. Biol. Reprod. 41(2): 268-76.
  2. 2. Eppig, J. J. and M. J. O'Brien (1996): Development in vitro of mouse oocytes from primordial follicles. Biol. Reprod. 54(1): 197-207.